【初心者講座】ガンプラのウェザリング、どこまで汚すべきか?
はじめに
やり過ぎるとただ汚く見えちゃうし・・・
でも、ガンプラは架空のロボットだし、気にせず自分の好きな様に塗装するといいよ!
今回の記事は、下記目的の方にご参考頂けると思います。
・ガンプラのウェザリングを、どこまで汚せばよいか悩んでいる方
・ウェザリングをする際に考えていることを参考にしたい方
・本記事は、ウェザリングの考え方を強要するものではありません。
・あくまでも、アマチュアモデラーの一意見としてご参考下さい。
・一番大切なことは、本人が楽しく、納得して制作されることだと思います。
それでは本編へどうぞ!
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ウェザリングにおけるカッコイイとキタナイの境界線
持論になりますが下記と考えています。
・ウェザリングにおけるカッコイイとキタナイの境界線
⇒ウェザリングにより、ストーリーを感じられるか否か
皆さんは、自分の愛車が汚れていたらどう思われるでしょうか?
ボクは「洗車してえ・・・」と思います(笑)
しかし、同じ汚れた車でも過酷なレースを完走した後の車だったらどうでしょうか?
ボクは「厳しいレースを戦い抜いた勲章か・・・かっけえ・・・」と思います。
また、廃墟にたたずむボロボロの廃車だったらどうでしょうか?
ボクは「サウダージ(言いたいだけ)を感じる・・・美しい・・・」と思います。
つまり、その汚れが何かを語ることができるのであれば、カッコいいウェザリングになると思っています。
そして、作品を観たたくさんの方に何かを語らせるためには、ある程度のリアリティや情報を持たせる必要があると思います。
砂漠で戦闘をしている設定にも関わらず、草木の跡を付けていたら自分の思い描いている姿を伝えることはできません。
また、柱に刻まれた子どもの成長を語るキズも、知らない方が見たらただのキズになってしまいます。
自分の伝えたい姿があるのならば、砂汚れを模したウェザリングを行う、柱のキズに年齢を書き込む等、知らない方でも分かる工夫が必要になります。
それでも、自分の思い描いている姿が全て伝わる訳ではありませんし、あえて描写しないことで相手に想像させることもできるので、何が正解かは分からないんですけどね(汗)
柱のキズに年齢を書き込むのはヤボな気もしますしね。
結局、ウェザリングはどこまで汚すべきか?
結局、どこまで汚せばいいの?
それでは、ボクが考える「どこまで汚すべきか?」を教えるね!
持論になりますが、下記と考えています。
・ウェザリングはどこまで汚すべきか?
⇒制作者それぞれの考えやシチュエーションによる
だから、ボクが「これくらいの汚しにしよう!」と決める手法を教えるよ!
シチュエーションから想像する
ウェザリングを行うとき、なんとなくでも使用されるシチュエーションを考えると思います。
そのシチュエーションを突き詰めていくことで、どんな汚れを、どの様に、どこまで汚すかを考える手法です。
下記に、ボクが考えてみた事例を示します。
市街戦を想定する場合
市街戦を想定した場合、下記の様なことが考えられるかもしれません。
・ビル等の建物で擦っているかも?
⇒機体側面に水平方向の擦りキズを付ける
・舞い上がったコンクリートの粉塵が薄く積もっているかも?
⇒上面を白っぽくウォッシング(塗料を付けてから拭き取り)
・大きな破片は高く跳ばないので、大きなキズは足元に集中するかも?
⇒足元をシルバーでチッピング(筆やスポンジで点々を付ける)
森林での戦闘を想定する場合
森林での戦闘を想定した場合、下記の様なことが考えられるかもしれません。
・雨の多い地域なら湿った汚れが多いかも?
⇒ツヤ有りクリアやウェットペースト等を使う
・樹木の高さを5~10m程度と設定すると、キズや汚れは下半身に集中するかも?
⇒下半身に緑や茶色の汚れを塗装する
・ぬかるみで泥汚れが付いているかも?
⇒足元にウェザリングパステル等のペーストを塗り付ける
水中での作戦を想定する場合
水中での作戦を想定した場合、下記の様なことが考えられるかもしれません。
・錆びやすくなるので、通常よりサビが多いかも?
⇒サビによる塗装の浮き上がりを、赤茶色のチッピングで表現
・全体的に水アカが付いているかも?
⇒水が垂れそうな位置に白色でストレーキング(垂れた様に線を引く)
・泥や粉塵汚れは付かないかも?
⇒代わりにパーツの角をシルバーでドライブラシ(ティッシュ等にカスカスになるまで擦り付けた筆で塗装)
宇宙空間での作戦を想定する場合
宇宙空間での作戦を想定した場合、下記の様なことが考えられるかもしれません。
・進行方向に対して前面のデブリ痕が多いかも?
⇒リューター等で凹みや、黒い塗料で点々を付ける
・紫外線が強いので塗装が退色しているかも?
⇒白や塗装より明るい色でフィルタリング(薄く塗装し色味を変化させる)
・大きなデブリはシールドで回避しているかも?
⇒シールドのデブリ痕を派手にする
・バーニアを吹かすので煤汚れが多いかも?
⇒バーニア回りに黒のウェザリングマスターを擦り付ける
雪原での戦闘を想定する場合
雪原での戦闘を想定した場合、下記の様なことが考えられるかもしれません。
・熱源の無いパーツは凍結しているかも?
⇒シールドや手足の装甲等を白くフィルタリング
・温度差があるため、熱収縮と氷で擦れているかも?
⇒関節回りをシルバーでドライブラシ
・泥と氷が固まっているかも?
⇒足元にウェザリングスティックを擦り付けた後、白のウェザリングマスターを擦り付ける
上記以外にも、様々なシチュエーションがあるかもしれません。
考え過ぎてあり得ない想定が出てくるかもしれませんが、架空の世界なのでどうとでもなります!
雪原で「温度差があるため、熱収縮と氷で擦れているかも?」とか言っていますが、1mの鉄鋼は50℃の温度差で約0.6mmしか変化しませんし、宇宙空間の方が温度差があります。
でも、なんとなくスゴく考えている感があるでしょ?(笑)
機体コンセプトから考える
近接戦闘特化型にする!や、ライフルで遠距離射撃をさせたい!等の機体コンセプトを考えて制作することが多いと思います。
機体コンセプトから動きを使い方を想定し、どこまで汚すか考える手法です。
下記に、ボクが考えてみた事例を示します。
近接戦闘をする機体の場合、下記の様なことが考えられるかもしれません。
・派手なキズが多いかも?
⇒シールドや装甲に派手な切りキズを付ける
・動作が多いため擦れが多いかも?
⇒シルバーでドライブラシやチッピング
狙撃をする機体の場合、下記の様なことが考えられるかもしれません。
・派手なキズは少ないかも?
⇒シルバーのドライブラシやチッピングは控える
・しゃがむことが多いかも?
⇒足元やヒザにウェザリングパステル等のペーストを塗り付ける
その他にも、必殺技を考えて特定の動きによるキズを付けても面白いかもしれませんね。
特定のシーンを切り取る
シチュエーションや機体コンセプトだと、想定することが多すぎるかもしれません。
その場合は、特定のシーンに絞って考えてみるのはいかがでしょうか?
下記に、有名な輝き撃ちのシーンで考えてみた事例を示します。
輝き撃ちのシーンでは、下記の様なことが考えられるかもしれません。
・ヒザをつくのでヒザまで汚れるかも?(実際はヒザを付いていませんが汗)
⇒足先からヒザまで黄土色のウェザリングを施す
・正面で銃弾を受けるかも?
⇒機体正面の装甲にリューター等で弾痕を付ける
機体毎に有名なシーンは多々あるため、比較的考えやすいのかな、と思います。
作品を真似てみる
それでも、具体的にどこまで汚せばいいのか分からない!という場合は、雑誌やネットで公開されている方の作品を真似てみるのはいかがでしょうか?
どうしてこのキズを付けたのか?
どの様な手法で汚したのか?
も含めて解説されている方はたくさんおられるので、真似もしやすいのかな、と思います。
真似を重ねていくことで、自分なりの考えや手法も身についていくはずです!
やりたいことから逆算する
実は、ボクが最も多用する考え方がこれになります。
「ガンプラをボロボロにしてえ・・・」
「水中迷彩をしてみたいな・・・」
等のやりたいことから逆算して、シチュエーションから制作する機体まで決めてしまいます。
そのため、やりたいことに従って設定をバンバン変更していきます。
これこそ、アマチュアモデラーの特権です(笑)
ここまで振り切れば、どこまで汚せばいいかの考えから解き放たれます(笑)
ウェザリングのクオリティを上げるためには?
でも、よりクオリティを上げるためにはどうすればいいかな?
そこで、よりクオリティを上げるためにボクが考えていることを教えるよ!
汚れの色・質感
ウェザリングした汚れを観た人へ、自分が思い描いた通りに伝えるためにはどうすればよいでしょうか?
ボクは、実際の汚れに近づけることで伝わりやすくなると考えます。
そのためには、汚れの色や質感をしっかりとイメージする必要があります。
一例ですが、ボクが考える各汚れのイメージは下記の通りです。
【泥汚れ】
色:茶色、黄土色
質感:ドロドロ
⇒茶色でペースト状のマテリアルを使ってみる
【サビ】
色:茶色、赤茶色
質感:ザラザラ
⇒茶色の粉を擦り付ける、赤茶色の塗料をチッピングしてみる
【砂ボコリ】
色:薄い茶色、くすんだ黄色
質感:サラサラ
⇒黄土色の塗料でウォッシングしてみる
【スス汚れ】
色:黒色、灰色
質感:サラサラ
⇒黒・灰色の粉を擦り付けてみる
【オイル汚れ】
色:黒色
質感:ツヤツヤ
⇒黒のツヤ有り塗料でストレーキングしてみる
【凍結】
色:白色
質感:ガチガチ
⇒白い塗料でフィルタリングしてみる
実際に外へ出て、汚れを観察してみたり、ネットで画像をみたりするのもよいと思います。
特に、重機や船等の乗り物は参考になりますね。
イメージをしっかり持つことで、使用するマテリアルや手法を選択することができると思います。
汚れのスケール
リアルな汚れを付けようとして、現実と同じ方法で、同じ汚れをつけるとどうでしょうか?
スケールが違うプラモデルに、1/1の汚れをつけると違和感が生じてしまうと思います。
1/100や1/144が多いガンプラは、1/12や1/35等のスケールモデルより更に違和感があるでしょう。
そのため、汚れもガンプラのスケールに合わせる必要があります。
・ガンプラは足元だけで2~3mはある
⇒激しい泥汚れは控えた方がいいかも?
・1mmの塗装剥げも、実物のスケールにすると100~150mmになる
⇒ドライブラシ程度の細かさに留めた方がいいかも?
しかし、スケールを合わせ過ぎると、汚れのディテールが分からなくなってしまいます。
砂と泥も同じ質感で、薄っすらとした汚れだけ・・・
その様な汚れだけだと、作品を観た方へ逆に伝わらなくなってしまいます。
更に、ウェザリング自体の楽しみも削がれてしまうと思っています。
そのため、見栄えを重視して汚れのスケールは適度にウソをつくこともアリだと考えています。
光・影
実物とプラモデルで光の当たり方、見え方も異なります。
ボクが考える、実物とプラモデルの違いは下記の通りです。
【実物】
・光源は主に陽の光
⇒光が一方向だけのため、影ができやすい
・遠くから観る
⇒空気による色の減衰が発生し、コントラストや彩度が落ちる
⇒遠近感が強い
【プラモデル】
・光源は主に室内の光
⇒光が多方向から回り込んでくるため、強い影はできにくい
・近くから観る
⇒空気による色の減衰が発生せず、色が鮮やか
⇒遠近感が弱い
つまり、下記を考えることで、プラモデルっぽさを打ち消すことができると思います。
・光が当たる面は明るく、影になる面は暗くフィルタリング(薄く塗装することで色味を変える)する
・白色等でフィルタリングをかけ、コントラストや彩度を落とす
・視点を固定する場合、形状やカラーリングで遠近感を強める
ガンプラにスミ入れをするのも、影を模すことでプラモデルっぽさを打ち消すことに効いていると思います。
大きければ大きいほどツヤが見えなくなるため、ツヤ消しを施すのも有効ですね。
ウェザリングから話はズレますが、撮影環境を変更し光の当たり方を変える、広角レンズで撮影し遠近感を強める方法もプラモデルっぽさを打ち消すのに有効だと思います。
ランダム性
汚れは偶然の産物です。
その汚れが左右対称、同じ様に汚れていたら違和感があるのではないでしょうか?
ガシャポンを回して同じ商品が出続けたら「おかしいだろ!」と思ったり、100回目を超えた辺りから出現率1%のアイテムが出るに違いないと思ったり・・・
ちょっと違いますかね(笑)
つまり、偶然生まれるはずの汚れを表現するためには、わざとランダムに汚した方がそれっぽくなると思います。
本当のランダム(一様乱数)と人が実感するランダムは一致しないので、わざとランダムにするというのがミソですね!
ジオラマ・小道具の追加
プラモデルのウェザリングのみだと、どうしても伝えられる情報量に限りがあります。
そこで、ジオラマや小道具を使ってみるのはいかがでしょうか?
同じ白く汚れたガンプラでも、市街地のジオラマに設置する場合と雪原のジオラマに設置する場合では、受ける印象が異なりますよね。
ジオラマや小道具を使うことで、物理的に伝えられる情報量を増やす作戦です。
同じスケール感のジオラマを使うことで、プラモデルっぽさを打ち消すのにも有効です。
屋外撮影をすることで自然物や空を映すのも、プラモデルっぽさを打ち消すのに有効だと思います。
まずは手を動かしてみる
ウェザリングのクオリティを上げる最も良い方法ですが、実際に手を動かしてみることが大切だと思います。
今はネットやSNS等で、簡単に様々な知識や技術を学ぶことができます。
しかし、制作者それぞれの考えやシチュエーションによるところが大きいです。
その知識や技術を自分の中に落とし込み、頭で思い描いたシーンを試行錯誤しながら表現する・・・
結局のところ、地道に数をこなして表現の引き出しを増やすことが一番の近道だと思います。
具体例:Ez8+陸戦型ガンダムミキシング
とても教科書の様な作品ではないですが、実際にボクの作品を用いてどんなことを考えてウェザリングしたのかを説明致します。
具体例
「Ez8+陸戦型ガンダムミキシング」ですが、下記を考えながら制作をしました。
・離型剤を使用した塗装剥げをやってみたい
⇒やりたいことから逆算して、Ez8と陸戦型ガンダムのミキシングを開始
・主に市街戦を想定
・複数回戦闘をしており、現地補修を繰り返している
⇒シチュエーションに沿ってウェザリングを施していく
細かい動作についてですが、シールドを構える姿勢を基本姿勢と想定しています。
また、動きながらの牽制射撃も多くなると想定しています。
左側を向けており、動きながら戦闘をするため、脚部の左側面は傷だらけにしました。
逆に右側面は控えめにしています。
市街戦を想定しているため、泥汚れは控えめです。
脚部の内側は破片があまり跳んでこないと想定し、チッピングはほとんどしていません。
脚を良く動かすので、太ももにフロントアーマーとの擦れを表現しました。
戦闘に対して前を向くことが多いと想定しているため、脚部の後ろ側もチッピングは控えめです。
街路樹等もあるので、5~10m辺りの位置に緑系の汚れを施しています。
基本姿勢を考えると右の肩はシールド範囲から外れるため大きな銃弾痕を付けています。
そして、現地補修感を出すために当て板補修をしています。
ビル等の建物で擦ると想定し、右腕に擦れた痕を付けています。
穴を誤魔化そうとして変な感じになっていますが(笑)
逆に、左腕はシールドの裏側にあるため、あまり汚していません。
肩回りの上面は、白っぽくして粉塵の積もりを表現しています。
肩の懸架フックは中央が擦れると想定し、真ん中に擦れ痕を付けています。
武器類は傷があると誘爆の可能性があり、予備があると想定しウェザリングは施していません。
代わりに、シールドはやりたい放題キズを付けまくっています(笑)
戦闘に対して前を向くと想定しており、予備もあると考えランドセルは薄っすらとした粉塵汚れのみとしています。
パラシュートは使い捨てのため、ウェザリングは施していません。
反省点
改めて見返してみると、一応全ての汚れに理由を付けてウェザリングを施していました。
後付け理由も多々ありますが(笑)
ただ、下記反省点があると考えています。
・塗装剥げが大き過ぎる
⇒1/144のガンプラに、本当の塗装剥げを施すのは難しかった・・・
・汚れの質感が同じ
⇒サビも砂もホコリも質感が同じで違いが分かりにくい、特にサビ表現が下手(泣)
・汚れのコントラストがはっきりしていない
⇒全体的に薄ぼんやりとしており、汚れが映えていない
個人的に意欲的な作品になりましたが、反省点も多々あるな~といった感じです。
しかし、これも実際に手を動かしたからこそ分かったことで、自分の成長に繋がる作品になったと思います!
最後に
皆さんいかがだったでしょうか?
ただ持論を展開しただけですが、少しでもご参考頂けることがあれば幸いです。
今回具体例として紹介したEz8と陸戦型ガンダムのミキシングですが、実は2016年に制作した作品になります。
メモを取っていた訳でもないのに、我ながらよく覚えているものです(笑)
それだけ、素人ながら考えて制作していたんだなぁ~と思います。
色々と考えて制作するのは楽しいですし、何より作品に対して愛着も湧きやすくなるのかな、とボクは思います。
それでは皆さんも楽しいウェザリングライフを!